天気にも恵まれイヌワシの撮影が出来た。イヌワシの出は決して良いとは言えないのだが、一日に数度のチャンスはほぼモノに出来た。しかしイヌワシ撮影は難しい。正面を向き左右45度辺りにイヌワシを見付けなければもう遅いのだ。羽ばたかずに風を味方に滑空して現れるが、そのスピードは結構な速度。早く見付けられなければ後ろ姿の量産となってしまう。だから誰かが見付けたら、イヌワシ出現の合図を(出た~!!来た~!!など)声にするのだが、中には一人だけシャッターを切り始める人もいる。暗黙の了解・・・誰もが知るルールとして、周りの人達にもイヌワシ出現を知らせ合いましょう。
そして、イヌワシについて少し・・・
食物連鎖の頂点に立つイヌワシ。国の天然記念物に指定されており、絶滅危惧IB類となっている数少ない猛禽。個体数は全国に500羽程とも言われている。体高は約70センチ弱から100センチ弱程で、翼開長は180センチ位から230センチ程。雄より雌の方が大型だ。(公開されている情報元により数値には誤差があります。)そして行動範囲は平均60キロ㎡にも及ぶとされている。握力は100kgもあると言われており、小鹿程度なら掴んで飛翔してしまう。イヌワシ(狗鷲や犬鷲)とも書くが、自分は天狗伝説の天狗様がイヌワシだったのではないかと信じているので、「狗鷲」の字の方が妥当だと思っている。記憶が確かなら明治9年だったかの読売新聞の記事に、広島県のとある村でのイヌワシ事件も実際にあった事件だったし、過去にイヌワシの営巣した巣内に人骨があった例もあったと何かで読んだ事がある。
長閑な山村、乳飲み子を籠の中に寝かせ親は農作業。子供は寝ているかと籠を覗くとその姿が無い・・・。さっきまでいた小さな子供の姿が忽然と消えた・・・。これこそが天狗の神隠し、イヌワシ(狗鷲)の仕業だったのではないかと思わずにはいられないのだ。イヌワシの視力は人間の8~10倍、1Km先の兎も上空から見付け急襲する。赤子や子供なら音もなくさらって行ってしまうだろう。
それでは今期最後の遠征で撮った画像をご覧下さい・・・。
撮影機材ソニーα1+FE600㎜+1.4テレコン+クロップの1260㎜&一部クロップ無し1.4テレコンの840㎜
日向の谷を浅めに飛んでくれたので撮り頃の距離、目も良く出てくれ満足な絵が撮れた・・・。
欲を言えば、兎かテンでも掴んで飛んでくれたらなぁ~・・・
これは上の4枚の画像の前半で崖下の谷の日陰を飛んで来た時のものだが、頭部周辺だけに陽が当たりこれもまずまずの画像となった。
明るさも持ち上げず撮って出し、トリミングのみ・・・
しっかり目もキャッチされた・・・
下を飛んでいる時は上を警戒しながら飛んでいる・・・
色付く山がまるでマーブルチョコ色に・・・
突然谷下から湧き上がって来た、距離も近い・・・ファインダーを覗いたら絶対に撮り溢すと思い、コンマ何秒の瞬間に「照準器撮りだ!!」と老化した脳みそが判断し照準器で捉えた瞬間に連写、この辺りの画像が撮れた。奇跡のシャッターチャンスとなった。
実につまらない空抜け画像・・・
イヌワシがこの目線ちょい下(背打ちも含め)で誰にでも撮れるなんて、日本広しと言えどもここ伊吹山のイヌワシだけだろう。
だから皆愛好する者達は通ってしまうのだろう・・・
今期最後の伊吹山遠征はまずまずの成果だった。また来年の春にイヌワシに会いに行こう。そして関東軍団をはじめ今回居合わせた皆様、大変お世話になりました。撮影前はもとより撮影中の会話や情報交換も楽しく有意義な時間となりました。またお会いした際には宜しくお願い致します。
祖新 六四
(そにぃ むつし)